東ティモールで散髪をおまかせ
これまで、海外で散髪をしたことは、一度も無かった。
若い頃は髪型にこだわりがあったので、言葉が通じない国で髪を切るのは、とても抵抗があった。
でも、おっさんになった今となっては、さほどこだわりは無いし、思い切って東ティモールの床屋に行ってみた。
いやあ、面白かった。
これからは、海外旅行に行ったら、旅先で必ず散髪をしようかな、などと思った。
海外旅行の醍醐味は、自分の中で勝手に「常識」だと思っていることが、実は常識では無いと気がつくことだと思う。
床屋はそれを知る絶好の場所だという気がした。
まず、東ティモールには、私が見た限り、2パターンの床屋があった。
簡単に言うと、「店にドアがある床屋」と、「店にドアが無い床屋」である。
「店にドアがある床屋」は、冷房が効いていて、メニューが豊富で、日本の床屋と見た感じ遜色が無い。
「店にドアが無い床屋」は、本当に髪を切るだけが目的の、かなり窮屈な店という感じである。
どちらの店も、12月30日、31日は、行列ができるほど混雑していた。
1月1日は休み。
1月2日も、暮れほどでは無いが、結局髪を切れずに年越しをしてしまった人達で、そこそこ混んでいた。
1月3日には、だいぶ人が引いていた。私が切りに行ったのはこの日。
「ドアがある方の床屋」に行った。
散髪までの流れが、日本とはだいぶ違う。
髪を洗う場所と、髪を切る場所が別である。
日本のようにイスのリクライニングは無い。
髪を洗う用の場所は、ほぼフラットになっているイスと洗面台があって、そこに仰向けに寝て、髪を洗ってもらう。
髪を切る場所は、背もたれがほぼ直角で、正面に鏡がある。
日本と違い、洗面台がない分、鏡までの距離が近く、近眼の私でも、メガネ無しで鏡の中の自分が確認できるくらい近い。
多分切る人も、鏡が近い方が切りやすいと思う。
店には、英語の通じる女性がいた。
髪を切りに来たのかと聞かれたので、そうだと答えると、まず髪を洗うと言われ、洗い場に案内された。
洗うのと切るのは別の人である。
私の場合は、男性が洗い、女性が切った。
まず髪を洗う。シャワーはお湯ではなく、水である。外の気温は30度近いので、水の方が心地よい。
頭のマッサージもついでにやってくれる。
多少、服に水がかかっても、気にしないようである。
頭を洗ったら、ざっと拭くだけで、だいぶ濡れた状態のまま、髪を切る場所に移動した。
そして、髪型のカタログを見せられた。
今の髪型のまま、短くするだけで良いと伝える。
カットが始まった。ここは日本とほとんど変わらない。
一通りカットが終わったら、再び髪を洗うために、洗い場に移動。
二度目のシャンプー。プラス頭のマッサージ。
終わったら、再び髪切り場へ。
ドライヤーをかけて、はさみで細かい調整をして終わり。
1時間弱。
値段は、驚きの$7。日本円で800円くらいか。
ちなみに、ドアの無い方の床屋は、$2、日本円で200円ちょっとくらいの模様。
いやあ、この質でこの値段なら、月に2回くらい行っても良いのではないかと思う。
葛藤
思ったより仕上がりが短い
これといった注文せず、おまかせだったからと言うのもあるが、日本で切るよりも、かなり短く仕上がった。
日本では、切りすぎたときのクレームを恐れて、注文よりもちょっと長めに切ると聞いたことがある。
で、どうですかと聞いて、もう少し短くと言われたら、注文通りまで切るとか。
東ティモールでは、そのような駆け引きが無く、最初からバッサリと、言われた長さまで切ってくる。
いさぎよい。
なので、日本の感覚で切ってもらいたいときは、すこし長めに注文をする必要があるのだろう。
水はね注意
上述したが、髪を洗うときに、多少しぶきが服にかかることなど、気にしていない。
また、仕上げの整髪料も、服に多少飛び散っても気にしていないようである。
逆に考えると、日本の床屋では、それらのしぶきが一切飛び散らないように、気をつかっていて、何重にもマントを着せているのかもしれない。
東ティモールでは、小さいことでぎゃあぎゃあ言う客はいないのだろう。
日本にもほぼいないと思うけれど、「万が一」を恐れて、二重三重に保険をかけているのかもしれない。